chapter 29~ chapter 29 “恋敵” ~ 彼と付き合っている間、会社ではそれを隠していた。 私は相変わらず夜上手く眠れず、朝方ようやくウトウトするので遅刻が多かった。 私の事で彼の印象まで悪くなるのは嫌だから「社内では内緒にしておいて欲しい」と言ったのは私だ。 会社ではなんでもない顔をしなければいけなかったし、 必要以上に近づけない。目の前に居るのに甘えられないのが辛かった。 だからこそ会いたさが増したのに、彼は会社が終わった後に会おうとしてくれなかった。 いつも会いたくて甘えたがっているのは私で、彼にとって私が支えになる事なんかない気がしていた。 だったらなぜ私を彼女にしておくのだろう。こんなに役立たずなのに? 隠して付き合っていても、だいたい雰囲気でばれる。 私の上に女の先輩が居たが、どうやらその先輩は私の彼氏を好きらしかった。 彼と私が話しているときなどにいつも隣室からの視線を感じていた。 そういうのはきっと女同士の方がするどい。彼は全く気付いていなかった。 先輩はなにかと私に攻撃的だった。 例えば更衣室で2人だけになってしまった時などに、 上司への態度、礼儀、言葉使いなんかを引き合いに出して私に攻撃して来た。 あくまでも先輩が仕事に関しての注意をしている、という形だったから 黙って聞いているしかなかったが、私と仲のいい同期の女の子にそれを話すと 彼女にそんな言い方で注意された事はないと驚いていた。 注意されるべき点はあったかもしれないが私情が混じっているのは間違いなかった。 彼にもそれを伝えたが彼は私の味方になってはくれなかった。 彼と彼女は同期だ。いつも必ず彼女をフォローする返答が返ってきた。 例えそうであってもまず私の気持ちに頷いて欲しかった、と思うのは我侭だろうか。 彼女はあなたの事が好きなんだよ、と言っても「そんなのは関係ない」という対応だった。 付き合っているのに彼女に負けてる気がして悔しかった。 「彼女は彼女で色々考えているんだよ、こないだも悩んで泣いてたよ」 彼女は彼によく相談事を持ちかけては泣いていたらしい。 泣き落としをする彼女も嫌だったし、それにアッサリ乗せられている彼にもムカついた。 私は意地でも彼に泣き落としなんかするもんか。 悔しくて、同じになりたくなくて、私は彼の前で泣けなくなっていた。 そうして、私は彼の前で素直な私を見せる事は出来なくなって行った。 ◆chapter 29について(日記) へ ◆chapter 30 へ ジャンル別一覧
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